
以前にも取り上げたことのある水中カメラマン中村征夫さん。子どもの頃の原体験を語ったインタビューが以前新聞に。干拓前の八郎潟の豊かな自然のことなど。
高校卒業まで秋田市の近くの自然豊かな町に。幼時は山の中の農家に預けられていたそうで。一日中、山や川を遊び場に。冬は上級生たちと山にウサギ狩り、夏は川にカエルや魚を。幼時から自然の動物たちとの交感を毎日のように。
4歳の時に実家のある八郎潟の近くへ。干拓前だったそうで。八郎潟は当時琵琶湖に次ぐ広さ。よく泳ぎに行っていたとか。農業用地として利用するために干拓されていたのは、筆者も小学校の頃に社会科で習った記憶が。自然開発の代表的な大規模事業として鮮明な記憶が。でも泳げる場所だったというのは意外な感じが。
八郎潟での中村さんの体験。岸から数十メートル入っていくと底が玉砂利のように。足の裏の感触。足の指でつかんでみたらヤマトシジミ貝だったそうで。湖底一面が貝で埋め尽くされていたことに。八郎潟の自然がものすごく豊かだったことをうかがわせるお話。今だったら、世界自然遺産の候補にだってなりそうな豊かさでは。
お母さんを早く亡くされて、家族に負担はかけたくないと高校卒業と同時に東京へ。サラリーマンに。でも就職した電気店は1年で退職。一生かけてやる仕事ではないと思ったとか。次の働き先の酒店でも心のなかがももやもやと。そんな時に水中カメラマンという仕事に出会ったとのこと。
確か、海辺で海からカメラをかかえてあがってくるカメラマンに出合って衝撃を受けた、とあるテレビ番組で話されていた記憶が。でも水中カメラマンを仕事にして食べていくだけでも大変でしょうし、ましてそれですばらしい写真を撮って有名になるというのは並大抵のことではなかったはず。
中村さん、水中カメラマンとの出会いについて。子どもの頃、夢中で遊んだ秋田の原体験があって、全身を使って何かに体当たりする仕事を求めていたからではと。夢中になって体当たりしつづける生き方を幼時から身につけていたから、すばらしい水中カメラマンになれたことは間違いないようで。
筆者、生まれも育ちも九州の福岡市。子どもの頃は夏休みごとに母方の故郷の壱岐の島へ10日ほど。毎日のように海へ。水泳を覚え、魚釣りにヤドカリ採り、ウニやイソギンチャクに見とれたり。そして山へもセミやカブトムシなどの虫取りに。同じ年頃の大勢のいとこたちとスイカ割りやら花火やら。子ども時代のもっとも楽しい思い出に。
今の住まいの八王子は町中ですが、幸い自然も少なくなくて夏には子どもをつれて川遊びを。プールと違ってどこにでもある遊具ではなく、いろんな種類の魚や大きなオタマジャクシや水生昆虫がたくさん。夢中になってドジョウや鮎を追いかけたり。
中村さんの幼年期の自然体験の豊かさが少しは想像できるような気がします。八郎潟と水中カメラマン。豊かな自然体験とアーティスト。中村さんのような優れたアーティストにはなれなくても、豊かな自然体験が人としての心の豊かさにつながるのは間違いないのでは。
生きることは楽しい、と感じることのできる子ども時代を送らせてあげたいような。夢中になれる喜び。それが自分の人生を実り豊かなものにしてくれるのでは。将来どんな仕事を選ぶにしても、経済的に豊かかどうかは別にしても、人生辛いことは避けられないにしても、何かに夢中になって心豊かな人生を送られるかどうかがとても大切な感じがします。
アートは心の喜び。でもアーティストでなくても、アートそのものに触れなくても、何かに夢中になって生きられる喜び。中村さんの姿から、そんなことを思ってしまいました。ゲームや人工物のもつ魅力には限界が。でも自然の恵みは無限の想像力をかき立ててくれるようで。
中村さん。秋田へ帰ると今も同級生と飲んだりするそうで。秋田にいる人たちより秋田弁がひどいとか。昔の自分から変わってはいけない、という思いが強いのかも、と。秋田も自然や風景、人情をそのままに、との願いをインタビューの最後に。
秋田の自然が育んだアーティスト。自然環境や景観の大切さが叫ばれるようになった昨今ですが、アートの世界だけでなく、人の心をふくめて、美しさが大切にされる世の中に向かいつつあるようで、心がほんのりあったまった中村さんの記事でした。
※画像:八王子市近郊を流れる秋川。夏は川遊びの人たちがたくさんやってきます。
※中村征夫さんのインタビューは読売新聞07年2月15日付朝刊。
※中村征夫さん関連記事
■津波で被災した奥尻島の人びとからの思いやり:写真家・中村征夫氏の目に涙 ※無料メルマガ「アートな気分で」(PC・携帯ともOK)登録は
こちら(バックナンバーは
こちらから)
※
全記事一覧へ
* * *
[お勧めイベント] へ
「■ハイドン、モーツァルトからビートルズまで:クラシック音楽とポップスと」「■夢見るピアニスト:シューマン・トロイメライをめぐって」「■ある室内楽のコンサートで:カルテット・ポミエ・中見貞夫メモリアルコンサートにて」などでご紹介の見応え、聴き応えのある比較的安価な
お勧めイベント(展覧会・演奏会)をDr.アートが独自の視点でご紹介。
posted by Dr.アート at 00:35|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
自然・環境
|

|